〔074〕池木屋山 (1,396m)

2012年10月07日


関西百名山に戻る

三重県松阪市飯高町蓮
  昨夜は道の駅”飯高駅”に隣接する ”いいたかのゆ”で汗を流し、そのまま ”飯高駅”で車中泊と
したが、夕刻から降り出した雨は夜中まで降り続いた。 朝、まだ雨が残っているなら中止の予定であっ
たが、早朝の4時頃には雨が上がっていたので宮ノ谷の駐車場に移動する。
Road Map :R166を香肌温泉郷に向かい、蓮ダム湖岸を走り、県道342から宮ノ谷林道に入る。
Route Map:宮ノ谷林道終点駐車場を基点に宮ノ谷を遡上し、下山は霜降山から西尾根を下る。
標高差:958m
関西百名山』 宮ノ谷の渓谷に魅了され、直登尾根に喘ぐ。 GPS電波の不具合で下りは道間違いをしてしまう。
登り:3時間48分
下り:3時間43分(ミスコースのロスタイムあり)
コースタイム:7時間42分(休息時間含む))
いけごややま
池木屋山
  餓鬼岳の白沢コースに似た宮ノ谷コースは関西にもこんな面白い山が
あるのかと思った。 行程中、退屈することなく、最後の急登も餓鬼岳に
比べれば雰囲気良く時間的に楽な登りだった。
GPS電波障害
  最初は自分のハンディGPSの不調かと思ったが、帰路の車でカーナビ
が5分程フリーズし、これはGPS衛星の電波障害と判った。 完璧に思
えたスタート地点にフラッグを立てておく作戦はGPSの電波障害で脆く
も崩れ、かなり上流の風折滝分岐のフラッグが最初のフラッグとなってしまい、これを駐車場のフラッグと間違い、とんでもない所から下降する
羽目になってしまった。
恐るべしヤマヒル
  宮ノ谷の渓谷歩きは夏に行きたかったがヒルが出ると言うので涼しくな
るこの時期まで遅らせていた。 今回、ヒルチェックを行ないながらの歩
きで1回もヒルの姿は見なかったので気温の低下でヒルは居なくなったと思っていたが、家に帰り風呂に入るとヘソの横を2ヶ所噛まれていた。
崖下りの途中で2〜3回スリップ転倒しているので、その時に噛まれた
のかも知れない。 噛まれても痛みが無いので帰るまで気付かなかった。
雨は上がったものの、薄曇で中々明るくはならない。 道は遊歩道
的に整備されているが、橋の巾は狭く、中々デンジャラスで面白い。
早朝5時に宮ノ谷林道終点の駐車場に着く。 昨夜から車中泊して
いた車が1台居たのみ。 6時丁度、亀山からのハイカーと一緒に
出発するが、途中で車のロック忘れに気付き、一旦引返す。
昨日の雨の影響もあるのだろうが
”宮ノ谷”の両側には小さな滝が多く出てくた。
整備はされているのであろうが観光地的な道ではなく正に登山道である。
対岸の滝と水の綺麗な ”宮ノ谷”を見る。
橋はラスメタルの金網で出来ており、下が見えるので
スリリングだが、抜けてしまわないか心配だった。
登山道は沢沿いになったり、沢を高巻きしたりを繰り返す。
亀山からのオヤジの姿が一向に見えない。 かなり足の早いオヤジ
なのか追付くことは無かった。 と思ったがオヤジは最初の
”犬飛峡”見学に沢に下りており、その間に抜かしていたのだった。
登山道そばの無名滝であるが、この時点では
ここに下山して来ることは想像出来なかった。
沢の綺麗さに魅了される。 紅葉の時期が良さそう。
GPSが巧く電波を捕捉していないのに気付く。
渓谷が深いせいだと思ったが、GPSの電波障害だったことが後で判る。
今日の薄曇でも充分綺麗だが、晴天下で見たかった。
狭い渓谷を高巻きする。 登り降りが多く、累積標高差が
楽しみだったが、GPS電波の不調で判らなかった。
これだけ落差のある橋ならラスメタルの隙間から見える下面が恐い。
標識を見て見上げると岩壁があったが、
樹林と逆光で巧く見えなかった。
ついに到着した。 この光景が見たかった。 ”餓鬼岳”への ”白沢”に似た光景に感激。
GPS不調のチェック、デジカメのバッテリー交換をしていると亀山のオヤジが追付いて来た。
ここを通るだけで ”池木屋山”に来た甲斐がある。
一旦は通り過ぎた亀山のオヤジが写真を撮る為に戻ってきた。
この写真を撮らなくてどうするんだ。
鉄柵がしっかりしているので揺れることはないが、それでも緊張する。
橋の巾は狭く手摺りが無いと恐くて渡れないだろう。
50分にて ”水越谷出合”に着く。
”風折の滝”にはここから左の沢に入る様である。
アップダウンが多いが梯子が整備されており楽チンだった。
無名の双滝。 凄い景観の渓谷が続く。
登山道が完全に土石で覆われた崩壊帯を乗り越える。
現在も崩壊は続いており、乗り越えた反対側の
下りは土石が崩れ易く、ヤバかった。
落差50mの直瀑である ”高滝”に着く。
昨夜の雨で水量が増えたのか、迫力ある滝姿を見ることが出来た。
崩壊帯を抜けると ”高滝”手前を対岸に渡渉する。
昨夜の雨で水量は多いが飛び石で渡ることは出来た。
”高滝”を高巻きするルートはフィックスロープに
助けられるが、かなりの急斜面であった。
トラバース路もヘタすると滑落しそうなデンジャラスな道。
”池木屋山”は毎年の様に遭難者、滑落者が出ているらしい。
”猫滝”の高巻きは岩登りとなる。
高滝より上流にあった落差10mの直瀑である ”猫滝”を見る。
滝壺の水の綺麗さが印象的だった。
手前は崖であり、滝にはこれ以上近付くことが出来なかった。
渡渉して右岸に渡る。 ナビテープを追えば問題無しだった。
飽きることのない ”宮ノ谷”の渓谷美。
登山道は雨水で流されたのか踏み跡は僅かに残されているのみ。
ナビテープを見失いゴルジュを抜けようとしたが、
思い直して引返し、ナビテープを探すと正規のコースを
見付けることが出来た。
ここを渡渉した後、進む方向が判らずにウロウロしてしまう。
2時間12分にて落差20mの斜瀑である  ”ドッサリ滝”に着く。
沢を渡り正面に回れば滝の全容を写せるが、滝名通りに落水が
ドッサリで水煙りでレンズが濡れてしまうので近寄るのは止めた。
沢を遡上してみるがナビテープがまったく見当たらず、渡渉地点まで
戻り、山側を見てみると奥の方にナビテープを見付けることが出来た。
尾根に取付くまでは沢歩きで殆ど標高を稼いでいなかったので、
尾根筋に入ると急登の連続となる。
沢から離れ斜面をジグを切って尾根筋に入って行く。
休まずに登り続ける。
激しい急登が続く。
どこまでも急登が続く。GPSで標高差を見てみたいものだ。
更に急登が続き、体力電池がどんどん減って行く。
3時間4分にて ”金庫岩”(勝手に命名)に着く。
まだまだ登りが続く。こんな道が好きなので一生賢明に登る。
一瞬、緩やかになったかと思えたが・・・
”くそったれー!”と口に出る程に急登が続く。
アルプスの三大急登を上回っていると思う。
まだ急登の登りは残っていた。
急登は終ったかと思ったが、それは甘かった。
急登尾根登り1時間9分で穏やかな樹林帯に出た。 やれやれである。
山頂付近はブナ林が広がり、紅葉時に来てみたかった。
山頂を示す標識はこれだけ。 他に道標も無し。
3時間48分にて ”池木屋山”(1,396m)に着く。
標高の割りに手強い山だった。 山頂は樹林で覆われており
展望が殆ど無くピーク感も無しだった。
山頂からの展望はこれだけ。 どこを見ているかさっぱり判らない。
下山して程なくで ”小屋池”に着くが花の無い
時期には只の水溜りとしか思えなかった。
山頂で11分程昼飯休憩とするが、中々、亀山のオヤジが
上がってこないので ”小屋池”側にささっと下山する。
但し、日当たりの良い場所は低潅木が茂り、これがうっとうしい。
”霜降山”へ続く尾根道は緩やかにアップダウンを
繰り返すだけで楽チン歩きが出来、雰囲気も良かった。
振り返り ”池木屋山”を見る。 この辺りの山は殆んどが
樹林で覆われており、露地になっている場所は少なかった。
途中での展望、山名はさっぱり判らん。
進行方向、北側を見ると桧塚、桧塚奥峰、明神岳が
見えており、大体判るが細かな同定は出来ていない。
下山尾根筋は緩やかに下って行き雰囲気は中々良かった。
縦走36分にて ”霜降山”(1,360m)にあっけなく着き、ここで
休憩していたハイカー2人と話しする。 彼らは ”明神平”から
縦走して来たらしい。 喋っていて ”霜降山”の写真を撮り忘れた。
道標が無かったので下山方向を確認して、北側に延びる尾根道に入る。
快適に尾根筋を下って行く。 この時点では、その後の悲劇は
予想出来ず、楽に短時間に下山出来ると思っていたが・・・
目を引いてしまった奇怪なブナの木。 ギリシャ神話の
”ケンタウロス”に似ていて、なんでこんな格好に育った
のだろうと考えさせられた。 この後、同様のブナの奇木を
各山で見ることになる。
”青空平”からは踏み跡が薄くなり、樹生もヒメシャラに変わる。
このヒメシャラは木肌がツルツルしていて掴むのに持って来いだ。
下山1時間8分にて ”青空平”(1,222m)に出る。 標識は無いが
ここが ”青空平”に間違いなさそうだ。 造成された様な広場は
ジキタリスの群生地らしいが、花は完全に終っていた。 ここから
先の道が見付からずウロウロして倒木の右側から伸びる道を見付ける。
GPSを見ると下降点の検討を付ける駐車地のフラッグを通りこして
いた。 実はGPSの電波障害で駐車地のフラッグは入っておらず、
随分上側の最初のフラッグを駐車地のフラッグに間違い、下降しなく
てはと適当な斜面を ”宮ノ谷”に向けて下り始める。 最初は緩やか
な斜面で楽勝ムードであったが、その後、地獄を見ることになる。
どんどん下って行くが景色が見えず、どこを歩いているのか判らない。道標はないがナビテープはあるので道間違いはないのだろう。
垂直の崖に出る度に下降し易い地点を探し、立木にぶら下りながら
降りていく。 立木の無い所では木の根っこを掘起こしてロープ代わ
りにして下る。 小さなテラスには落葉が積もりいつ踏み抜くか判ら
ない状況だし、岩盤は脆く掴むと直ぐに崩れる。 垂直の崖を見なが
ら ”滑落して死ぬかも知れない”と思った。
序盤はガレ場の歩き難い斜面で徐々に斜度が増していくが、通常の
ことで、まだ問題はなかった。 その後、崖っぷちに出て何度か進路
変更をして迂回するが、段々どうしようもない崖に入って行く。
谷筋に逃げると、この先は滝になっており、又斜面を登って、
下り易い箇所を探す。 5m程の垂直の崖下りが4回あった。
1時間近く崖下りをしてやっと登山道が見えて来たが、赤い橋だった
ので随分上の方に降りたのが判った。 登山道が見えて助かったと思っ
たが、この先が又、垂直の崖であり、迂回して下ることになる。
最後は一か八かの飛び降りを決行した。 恐かった!
下降開始から1時間30分掛かり登山道に戻れた。
切り傷、擦り傷が沢山出来たが  ”助かったー”の
気持ちで一杯になった。
降り立った地点は登り時に滝の写真を撮った所だった。恐怖心からか膝が震えており歩き出しても
しばらくは足が何か変な感じだった。
下山3時間43分で駐車場に戻る。 亀山からのオヤジの車はまだ
停まっており、駐車場が一杯になるであろうと遠慮して車を停めた
のに1台も車は増えていなかった。 そんなに人気のない山なのか。
宮ノ谷渓谷
蛇 滝
高 滝
ドッサリ滝
高巻き途中から ”高滝”の横顔を見ることが出来た。
進むべき方向を見失った時には落ち着いて
ナビテープを探すのが得策であろう。
尾根筋の登りはきつく男性的であったが、小屋池付近は
日本庭園風の女性的な風景が広がっていた。
”青空平”からの展望は素晴らしく、
山々を同定したいが、まったく判らなかった。